「性拷問」に屈辱会見…金正恩氏の「外国人イジメ」は終わらない

北朝鮮、裏では捕らえた外国人に虐待か 多くは人質外交やプロパガンダ材料に利用

記事まとめ

  • 北朝鮮はこれまで捕まえた外国人を人質外交やプロパガンダの材料として利用してきた
  • 北朝鮮に抑留されている宣教師たちは健康そうに見えたが、その後の情報はまったくなし
  • 帰国後死亡したオットー・ワームビア氏の例もあり、拘束されている外国人の安否に懸念

「性拷問」に屈辱会見…金正恩氏の「外国人イジメ」は終わらない

「性拷問」に屈辱会見…金正恩氏の「外国人イジメ」は終わらない

金正恩(キム・ジョンウン)氏

韓国の文在寅大統領は20日、北朝鮮の金正恩党委員長との首脳会談を終え、平壌から意気揚々と帰国した。両首脳が交わした合意が誠実に履行されるか、これからしっかり見ていく必要があるが、今、文在寅氏が世界の注目を集めていることは間違いない。

しかし、金正恩氏との和気あいあいとした会談を演出しするために、韓国政府が先送り、あるいは置き去りにしている問題も少なくない。北朝鮮の人権問題がその最大のものだが、北朝鮮で抑留されている韓国人の問題もまたそのひとつだ。

韓国政府は、北朝鮮には現在、2013〜2014年に中国・丹東で脱北者への支援活動をして拘束された宣教師3人と、2016年に拘束された元脱北者3人の計6人の韓国人が抑留されているとしている。

また韓国政府は公式に認めていないが、元脱北者で2011年から韓国デイリーNKの北朝鮮専門記者として活動していたチェ・ソンミン氏(仮名)が昨年5月末、北朝鮮内部情報を入手するため中朝国境地帯を訪れた際、北朝鮮の国家保衛省の要員に拉致されたと見られている。

チェ氏はかつて北朝鮮の工作機関に所属し、日本人拉致に加担した過去について証言していた。脱北後も北朝鮮国内の要員とつながりを維持し、情報提供などを受けていたとされるが、そうした人脈を逆利用され罠にはまった可能性がある。

韓国政府は、公式に抑留を認定している6人について、北朝鮮に送還を求めている。しかし北朝鮮は完全無視を決め込み、立場表明すらしていない。

北朝鮮は多くの場合、スパイ容疑などで捕まえた外国人を人質外交やプロパガンダの材料として「利用」してきた。後で記者会見に引っ張り出す必要があるから、凄惨な暴力を振るわれたとする事例は報告されていない。ただ、かつて北朝鮮に43日間にわたって拘束された韓国系米国人が、「性拷問」のビデオを撮られ、それを公開すると脅されたと証言したことはある。

北朝鮮に抑留されている宣教師たちも、当局がお膳立てした記者会見で「スパイだった」と「自白」させられている。そのときまでは、彼らは一応、健康そうに見えた。しかし、彼らがその後どうなったかは、まったく情報がないのが現状なのだ。

北朝鮮を旅行中に拘束されて有罪判決を受け、長期拘束の後に昏睡状態で釈放。帰国直後に死亡した米大学生オットー・ワームビアさんの例もあり、彼らの身に何が起きているかが気になる。

北朝鮮当局が自国民に凄惨な拷問を加えていることを、国際社会は知っている。外からまったく見えないところで、外国人に対して虐待が行われていたとしても、決して不思議ではないのだ。

今回、文在寅氏も韓国政府も抑留韓国人の件にまったく言及していないが、ことの展開次第では、この問題は南北対話の「命取り」にもなりかねない。彼らの身の上について、何らかのショッキングな事実が後になって伝えられた時、韓国国民が現在のように、素直に南北対話を眺めることはできなくなるかもしれないからだ。

そのことを、文在寅氏はどれくらいわかっているのだろうか。

関連記事(外部サイト)