12歳女児を待つ残酷な運命…金正恩「拷問部隊」が仕掛けるワナ

12歳女児を待つ残酷な運命…金正恩「拷問部隊」が仕掛けるワナ

2018年9月20日、韓国の文在寅大統領らと白頭山を訪れた金正恩氏(平壌写真共同取材団)

韓国または第三国を目指して脱北して中国にたどり着いたものの、現地公安当局に逮捕される人が急増している。その背景には、国際社会の対北朝鮮制裁があると思われる。

韓国・朝鮮日報系のTV朝鮮は9日、12歳の少女を含む20人の脱北者が中国公安当局に逮捕されたと報じた。

中国は脱北者を難民ではなく不法入国した経済移民とみなしており、摘発し次第北朝鮮に強制送還している。また、北朝鮮は国家保衛省の要員を中国に送り込み、公安当局と協力させている。同省は拷問や公開処刑、政治犯収容所の運営などを担当する、泣く子も黙る秘密警察である。

送還された脱北者を待ち受けているのは、過酷な刑罰と虐待だ。

脱北に失敗したことを悲観して自ら命を絶つ脱北者も後を絶たない。

5年前に脱北し、現在は韓国に住むキムさんの70歳の母親、18歳の息子、12歳の娘は、国境の川を越えて18日に中国の瀋陽に到着した。病気の母親は、鎮痛剤の注射を打ちながらの脱北だった。しかしその後、中国公安当局に逮捕され、現在は鞍山の拘置所に入れられている。

それ以外にも4月27日には瀋陽で7人が、先月25日には吉林省白山で7人が逮捕、収監されるなど、逮捕者は20人にのぼっているとTV朝鮮は伝えている。

一方、デイリーNKの情報筋によると、先月29日には場所は不明ながら3人が、先月15日には瀋陽で3人、21日には広西チワン族自治区南寧で13歳、18歳の青少年を含めた4人、同日に瀋陽で2人、吉林省通化で2人の脱北者が逮捕された。また、先月25日には瀋陽で男性2人、女性2人がアジトにいたところを公安に踏み込まれ逮捕された。

情報の重複もありうるが、総合するとこの2ヶ月で少なくとも38人の脱北者が逮捕された計算になる。

摘発される脱北者が急増していることについて情報筋は、「温かくなって山に身を隠すのが楽になったため、脱北が増えるのはいつものこと」と気候を第一の理由に挙げた。次いで「3月10日の最高人民会議代議員選挙で身動きの取れなかった人々が一気に動き出して、4〜5月に川を渡る人が急増した」という分析を示した。

北朝鮮当局は選挙に際し、住民が登録した場所に住んでいるかどうかをチェックする。もし住んでいないことがわかれば、面倒が生じる。また、移動も制限されるなど国中に厳戒態勢が敷かれるため、選挙が終わるまではおとなしくしているというわけだ。

一方で情報筋は、最近になって脱北者の傾向に変化が生じていることも指摘した。

「かつては、先に脱北して韓国に暮らす人が、北朝鮮に残してきた家族を脱北させるケースが多かったが、最近は韓国に家族や知人がいなくとも、一人で脱北するケースが多い」

国際社会の制裁で商売も農業も振るわず、このまま北朝鮮にいては餓死してしまうと考えた国境地域に住民たちが、生きるために脱北するケースが増えているのだという。

1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」やその後の混乱、2009年に行われ経済に大混乱をもたらした「貨幣改革」(デノミネーション)で、生きていけなくなった人々が脱北を選んだのと状況が似ている。

脱北者の救出活動を行っているカレブ宣教会のキム・ソンウン牧師は、中朝国境から遠く離れた南寧で逮捕者が出たケースについて尾行された可能性を指摘し、携帯電話の位置情報を追跡して逮捕作戦が行われることが増えていると述べた。

また、上述の情報筋も公安当局が脱北者のアジトを正確に掴んでいることを挙げ、携帯電話で位置がバレている可能性を示唆した。最近の脱北者逮捕6件のうち、4件がこのようなケースに当たるという。

また、脱北ブローカー同士が足の引っ張り合いで、他のブローカーが連れてきた脱北者を公安に密告した可能性もあるとも指摘した。

一方、米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は5月2日、複数の消息筋の話に基づき、北朝鮮当局の指図を受けた北朝鮮人が、国境を越える人々のグループに浸透して脱北者とブローカーのネットワークを把握し、中国当局が一網打尽にする事例が増えていると伝えた。

北朝鮮でこうした作戦を担当するのは、国家保衛省である。同省は近年、中国に潜伏する脱北者を摘発したリ、韓国に逃れた脱北者を強制的に帰国させたりするオペレーションに血道を上げてきた。それはもちろん、金正恩党委員長の命を受けたものである。

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