「公開処刑でも止められない」北朝鮮国民がハマる3つの禁忌

「公開処刑でも止められない」北朝鮮国民がハマる3つの禁忌

金正恩(キム・ジョンウン)氏

北朝鮮には、人々が公開処刑や拷問など当局から厳罰を下されるのを恐れながらも、どうしても止められない社会的タブーが3つある。

まずひとつが、覚せい剤など違法薬物の乱用だ。北朝鮮がかつて、覚せい剤を国家ぐるみで日本などに密輸していたのは周知のとおりだが、周辺国の取り締まり強化などで販路が遮断されるや、行き場を失った薬物は国内で乱用されるようになってしまった。

そして次に、ドラマなど韓流コンテンツの視聴である。

SDカードなど記録媒体の小型化で密輸入が容易になり、デジタルプレーヤーの低価格化が拡散に拍車をかけた。

そしてもうひとつが、占いなどの迷信行為である。北朝鮮の刑法256条は、金品を受け取って迷信行為を行った者は、1年以下の労働鍛錬刑(懲役刑)に処すと定めている。また刑法附則11条は例外的に無期労働刑(無期懲役刑)、死刑を適用できる範囲として、複数の行為の罪状が非常に重い者、全く悔悛していない者を挙げている。つまり、解釈により誰でも死刑にできるということだ。

実際、デイリーNKは昨年12月、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の清津(チョンジン)市で迷信行為を行った20代前半の占い師が銃殺された事件を報告している。また米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)も今年4月、同市内の水南(スナム)市場のそばの河原で公開裁判が行われ、占いを行った被告女性3人のうち、2人に死刑判決が下され、執行されたと伝えた。

このように、迷信行為に対する北朝鮮当局の取り締まり姿勢はきわめて強硬なものだが、国民が占いを遠ざける気配はまったくない。

平安北道(ピョンアンブクト)の消息筋は今月11日、デイリーNKに「社会生活全般にわたって迷信が広がっている。特に軍、党、検察所、保安署(警察署)、保衛部(秘密警察)などに勤務する男性の妻たちが、迷信への関心が高い」と伝えてきた。

こうした幹部層の妻たちは迷信に頼り、「夫の昇進や人事異動、解任(の可能性)などを占ってもらっている」(消息筋)とのことだ。また、不確実な将来に不安を感じるトンジュ(金主、新興富裕層)や流通業者も占いに頼り、慰めを得ているのだという。

北朝鮮当局も、当初は占いに対してここまで厳しい取り締まりを行ってはいなかった。

取り締まりがゆるかったのは、客に権力者が多いことが影響していたのかもしれない。しかし、金正恩党委員長にとって非常に都合の悪い噂を流されたりすることもあり、取り締まりが強化されている模様だ。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によれば、2016年頃には金正恩氏の運は2019年に尽きるという、「金正恩2019年終末説」が流布したこともあった。金正恩氏は昨年7月、「迷信行為を強力に取り締まり、処罰する」という方針を下し、最近になって迷信行為を根絶せよという内容の指示文を下したとされる。

しかし前出の消息筋の証言によれば、取り締まりは効果を上げていないようだ。それはそうだろう。

理不尽な取り締まりが強化されればされるほど、不安を抱く人々は占いに頼りたがるはずだからだ。

すでに北朝鮮では、家内の大事を決定したリ、付き合う人を選んだりする上で占いを参考にすることが当たり前になっている。そのような習慣を、政治が強引に根絶しようとすれば、それそのものが社会不安の種になりかねないのだ。

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