北朝鮮が国民に「ソーラーパネル」を猛プッシュする理由

北朝鮮国民は長年、電力難に苦しめられてきた。電力施設はボロボロ。未だに日本の統治時代のものを使っている施設も少なくないと言われている。

例えば北朝鮮最大の水豊(スプン)ダムは、満州国政府や朝鮮窒素(現チッソ)により設立された鴨緑江水力発電会社が多額の予算を投入し、鴨緑江に建設した巨大な水力発電所だ。しかし施設の老朽化が著しく、充分な発電ができないと言われている。

修理をしようにも、国際社会の制裁で外貨不足に陥り、部品調達もままならない。そこで北朝鮮政府は、以前にも増してソーラーパネルの普及に力を入れている。

平壌のデイリーNK内部情報筋によると、最近、「電気が足りないのでソーラー発電で問題を自主的に解決せよ」というテーマの政治講演会が行われた。

これは、一連のソーラーパネル普及キャンペーンに沿ったものと思われる。

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は先月25日、「様々なエネルギー源を積極的に利用し、切迫する電力問題の解決に貢献しよう」とする記事を掲載した。記事では「複数の道(どう)で自分たちの地方の特性に合った電力生産基地を建て、すでに建設された中小型水力発電所が電力生産を正常化し、地方工業部門の電力を自主的に保証しなければなりません」という金正恩党委員長の言葉に触れた上で、各地で電力を自力更生している様子を紹介した。

北朝鮮国民ももはや、国が電力を供給してくれることにあまり期待しておらず、自主的に電気を確保しようとしている。

しかし、今回のソーラーパネル奨励策を巡って、妙な噂が出回っているようだ。

「実際は、関連設備を売り払うために、当局はソーラーパネル発電に言及しているという噂が立っている」(情報筋)

この噂とは、党の関係者が大量のソーラーパネルを密輸したが、売れ行きが悪いため、権力を使って講演会でソーラーパネルを推薦させているというものだ。真偽は定かでないが、事実ならば権力者が政治教育の場である政治講演会を、商品宣伝、販売促進の場として利用したということになる。

それでも、党の指示とあらば、国民には買わないという選択肢はない。買わなければ「党の政策に従わない」として、最悪の場合、政治犯にされかねないのだ。

当然のことながら、講演を聞かされた人々は不満たらたらだ。

「ソーラーパネルは沿線地帯(国境地帯)の住民や金持ちが買うもので、一般庶民には夢のまた夢だ。北朝鮮の人すべてがソーラーパネルで電気を使えるようになるわけでもないのに、当局は購入を強いている」(情報筋)

デイリーNKの調査によると、平壌で30ワットのソーラーパネルは11万北朝鮮ウォンで売られている。コメが25キロも買える大金だ。ちなみに国連食糧農業機関(FAO)の統計によると、北朝鮮国民の1人当たり年間コメ消費量は58.5キロだ。

ソーラーパネルは、それだけを買えばすべてが解決するわけではない。バッテリー、変圧器など様々な付属品を買わなければならず、負担はさらに膨れ上がる。これでは、国が国民に対して抱き合わせの押し売りをしているのも同然だ。

「まともに食える家ならすでにソーラーパネルを設置している。それができない貧しい人達にとっては、電気よりいかにして食べていくかの方が問題だ」(情報筋)

道端て?もソーラーハ?ネルか?売られている(昨年10月、平安南道順川で撮影)

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