文在寅「GSOMIA破棄」で在韓米軍が“巻き添え”の大問題

文在寅「GSOMIA破棄」で在韓米軍が“巻き添え”の大問題

2018年6月14日、NSC全体会議で発言する文在寅氏(韓国大統領府提供)

北朝鮮が2日、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と見られる飛翔体1発を日本海で発射したことを受けて、韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相は同日の国会国防委員会による国政監査で、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に基づき、日本に関連情報の共有を要請したことを明らかにした。

米国の「怒り」増幅

韓国政府はすでに、日本とのGSOMIAを破棄する決定を下しているが、協定が失効するのは11月下旬だから、それまではこの取り決めに基づいた情報交換はできる。だが、問題はその後だ。北朝鮮がSLBMを搭載した新型潜水艦を日本海に配備した場合、韓国が対応に苦慮することになるのは明らかだ。

その現実を示す出来事が、少し前にあった。

7月25日、北朝鮮は新型の短距離弾道ミサイル2発を日本海に向けて発射した。韓国軍の合同参謀本部は当初、これらの飛行距離を430キロとしていたが、後に2発のミサイルはそれぞれ430キロ、690キロ飛行したと修正。さらに26日になって、2発はいずれも飛行距離が600キロであったと再修正した。

このように分析結果が二転三転した原因は主として2つある。第1に、ロシアの短距離弾道ミサイル「イスカンデル」を模倣したとされる北朝鮮のミサイルが、上昇後に下降して水平飛行するという、特異な動きをしたためだ。

そして第2に、日本海に向けて発射された北朝鮮のミサイルが、南から北方を監視する韓国の早期警戒レーダーの死角へ抜けて行ってしまったからだろう。

それでも韓国軍がミサイルの飛行距離を把握できたのは、「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)に基づき日本側から提供を受けた情報が影響を及ぼしたといわれている」と、韓国紙・朝鮮日報は伝えている。

これはつまり、朝鮮半島有事において北朝鮮が韓国へ向けて日本海からSLBMを発射した場合、韓国軍は探知に手間取り、迎撃のための対応が遅れてしまう可能性を示唆している。北朝鮮は、飛行特性の異なる新型の短距離ミサイルを何種類も開発することで、韓国の防空網の攪乱を狙っていると見られている。そこにSLBMまでが加わったら、韓国が直面する脅威は相当なものになるだろう。核弾頭が搭載されていれば、まさに国家存亡の危機だ。

もちろん、その脅威にさらされるのは韓国軍だけではない。在韓米軍もまた、同じリスクを負うことになる。

韓国の文在寅政権が日本政府による輸出規制措置への報復として、GSOMIAの破棄を示唆し始めた当初から、米国は繰り返し「それや止めとけ」との警告を発してきた。今後、米国の「怒り」はいっそう増幅されることだろう。

GSOMIA破棄は、文在寅政権に2重のリスクをもたらすことになった。文大統領はその意味するところを、十分に理解しているのだろうか。

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