金正日をズタズタに…北朝鮮「消えた一家」の危険なウワサ

金正日をズタズタに…北朝鮮「消えた一家」の危険なウワサ

金正日氏(左)と金正恩氏

北朝鮮の咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)で、夫婦と子ども2人の家族4人が忽然と姿を消す事件が起きた。その後も行方知らずの状態が続いているが、町ではこの家族がなぜ消えたのかについて「ある噂」が立っていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

家族の夫は、羅南(ラナム)陶磁器工場に運転手として籍を置きながら、実際は出勤せずにガソリン販売で生計を立てていた。無断欠勤は有罪だが、上役にワイロまたは罰金を支払うことで堂々と欠勤できるという「制度」を利用したものだ。そこそこ儲かっていたようで、家族は3階建ての家を建てて暮らしていた。

ところが、今年7月の末ごろ、家族は突然姿を消した。住民の移動を把握する役割を担う人民班長(町内会長)ですら、どのような事情があったのか見当がつかないと言っているという。

やがて、こんな噂が立ち始めた。

「息子のせいで家族は反動分子にされて、政治犯収容所に連れて行かれたらしい」

この息子は、知的障害を抱えていた。北朝鮮で障碍者は単に冷遇されるにとどまらず、追放の対象になる。金日成主席がかつて優生思想に基づき「(障碍者を指して)あのような種が広がるのは良くない。1カ所に集めろ」との指示を下したと言われている。また、金正日総書記は「障碍者が革命の首都平壌にいると、外国人に不快な印象を与えるから、追放せよ」との指示を下したとの話がある。

障碍を持った娘のせいで一家全員が平壌から追放されそうになったため、娘だけを郊外の祖母の家に送ったという脱北者の証言もある。彼女は、祖母の家から一歩も出ず学校も通えないまま、家で針仕事をして祖母の面倒を見ながら生計を立てていたという。

しかし、今回の「追放」は、息子が障碍者であることが直接の原因ではない。

夫婦は商売に忙しく、息子の面倒を見る時間がなかったため、市場にいたコチェビ(ストリート・チルドレン)を雇い、息子の世話をさせていた。留守の間に何か問題を起こすのではないか、夫婦は常にヒヤヒヤしていたが、その予想が的中してしまった。

息子が、壁にかかっている金日成主席と、金正日総書記の肖像画をむちゃくちゃにし、「3大偉人」(金日成氏、金正淑氏、金正日氏)のカレンダーをハサミで切ってしまったのだ。

北朝鮮で最も神聖なものとされるのが、最高指導者に関連するすべてのものだ。肖像画を災害や事故から救うために、命を投げ出した人は称賛される一方で、傷つけたりした場合は、重大な政治犯罪に問われる。

コチェビはすぐ保衛部(秘密警察)に通報した。家に駆けつけてきた保衛部は、ゴミ箱からズタズタになった3大偉人のカレンダーを発見し、一家は夜中に連れ出され収容所送りになったというのが、噂の内容だ。

一方で、「カネ持ちだから捕まった」と見る人もいる。北朝鮮では、いくらカネを持っていても暮らしぶりから気づかれないようにするものだ。ワイロや募金をせびられたり、財産を奪おうと悪事を働く保安員(警察官)、保衛員(秘密警察)、幹部のターゲットになりかねないからだ。そんなリスクを犯して、この一家が3階建ての家を建てた理由は不明だ。

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