金正恩氏が愛する「女性兵士」たちの人には明かせぬ苦しみ

金正恩氏が愛する「女性兵士」たちの人には明かせぬ苦しみ

北朝鮮軍女性中隊を視察した金正恩氏(2019年11月25日付朝鮮中央通信より)

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は25日、金正恩党委員長が朝鮮人民軍(北朝鮮軍)第5492軍部隊管下女性中隊を視察した。同中隊は、韓国との軍事境界線に近い前線に駐屯している。

同通信によれば、金正恩氏の祖父である金日成主席と父・金正恩総書記は生前、この中隊の女性兵士たちを特に気にかけていたという。

そのような経緯もあり、金正恩氏は「教育室で教育手段と文化娯楽器具の利用実態について調べ、こじんまりと整えられた寝室、食堂、洗面・浴場で何の不便もなく暮らす女性兵士たちの生活ぶりを見て喜びを禁じ得なかった」という。

性上納行為「マダラス」

同氏はさらに、「中隊女性軍人みんながわが党の革命精神で徹底的に武装された女性革命家、真の党の娘になることを願うと温かい信頼を与え、双眼鏡と自動小銃を記念に授与」したという。

女性兵士を思いやる金正恩氏の気持ちは、本心からのものかもしれない。しかし、朝鮮人民軍の女性兵士たちの大多数は、そのような愛情が届かないところにいる。

金正恩党委員長は今年に入り、軍内で蔓延する性暴力に対して厳正に対処する方針を示した。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、2月下旬から軍において「反性暴力闘争」が始まった。軍の幹部による、女性兵士に対する言語的、身体的な性暴力の根絶を目的としたこの闘争は、金正恩氏の指示に基づくものだという。

指示では、女性兵士の待遇を改め、性的暴力を根絶すると同時に、女性兵士に対しては「不当な上納要求、暴力に対しては信訴を行う」ように求めている。

信訴とは、上官からの理不尽な要求などを訴える制度を指す。しかし、「性暴力は被害者にも落ち度がある」とみなす北朝鮮の社会風土において、女性が名乗り出ることは非常に困難を伴うものだ。

また、「マダラス」などと呼ばれる性上納行為を強要する上官の権力は絶大で、抗うのは簡単なことではない。

情報筋も、「女性兵士たちは今回の指示で上官による性暴力、犯罪がなくなることを期待しているが、軍隊ではあまりにも頻繁に行われているので、一朝一夕になくなることはないだろう」と語っている。

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