米政府機関、移民キャラバン取材のジャーナリストらを監視、データベース化していたことが発覚

米政府機関、移民キャラバン取材のジャーナリストらを監視、データベース化していたことが発覚

NBCのカリフォルニア・サンディエゴ支局NBC7より

◆「キャラバン」取材のジャーナリストを米政府が監視

 昨年10月から始まったホンジュラスから米国に向けての集団移民「キャラバン」を取材する為のジャーナリストとカメラマン、そして激励して世話役を買って支援役としてその集団に混じっていた活動家や弁護士ら50余人が米国国土安全保障省の税関・国境取締局(CBP)から監視されていたことが米国NBCのカリフォルニア・サンディエゴ支局NBC7から独占で3月6日に公にされた。(参照:「NBC7」)

 監視するだけに終わらず、彼らについて作成されたデーターベースを密かに移民警察(ICE)、国境パトロール隊、FBI、更にメキシコの関係当局にも警戒するに値する人物だとして共有していたというのである。

 その中でジャーナリストは10人で、7人が米国人、2人がスペイン人、1人がメキシコ人という内訳であることも判明している。(参照:「El Pais」、「Univision」)

 彼らの情報をデーターベースで作成した背景には、トランプ大統領が”移民は誰かによって扇動されたもので、それにジャーナリスト、弁護士、活動家らが加担している”という偏見的な見方を持っていることがあるようだ。

◆パスポートに刻まれた「?」印

 この影響から、例えば、2人の弁護士と2人の取材カメラマンはその後メキシコに入国できなかったという。

 キャラバンに同行して、移民者に米国への入国手続きなどを助言していたこの2人の弁護士ノラ・フィリップスとエリカ・ピネイロの場合、フィリップスはロサンジェルス・タイムズ紙に先月、次の様な経験談を語った。

 1月31日にメキシコのグアダラハラ空港で、彼女は夫と子供から離されて9時間拘束された挙句に入国できずロサンゼルスに戻らねばならなくなったそうだ。同空港の入国管理局員の説明によると、彼女のパスポートには警戒を要するという「X」の印が付けられていたそうだ。しかし、それがメキシコ当局の仕業によるものではないと同局員が言明したという。(参照:「El Sol LATINO」、「Univision」)

 ピネイロも1月28日に10か月の子供を引き取ろうとした際にサン・イシドゥロの入国管理局から入国を拒否されたそうだ。

◆これまでの経歴や所有車もデータベースに記録

 更に、もう一人の弁護士ニコール・ラモスの場合は彼女のパスポートには調べてもらうと「X」の印はないそうであるが、NBCの調査の結果、彼女の車、彼女の母親の名前、これまでの経歴などの詳細がデーターベースに記録されているというのが判明したという。

 前述した2人のカメラマンの場合は、先ずキトゥラ・キャハナはフリーランスの女性カメラマンでニューヨーク・タイムズ紙やナショナル・ジオグラフィック誌に彼女の作品を提供している、が、1月に矢張りグアダラハラ空港から入国できなかったそうだ。彼女のパスポートに同じく警戒を要する人物としての印が米国で入れられていることを同空港の入国管理局員が明らかにしたそうだ。

 もうひとりのダニエル・オチョアはスペイン人のカメラマンで、AP通信で仕事をしてキャラバンに同行していた。1月20日に米国側のサン・イシドゥロからティフアナに入ろうとしたが、4時間拘束されたうえに入国を拒否されたそうだ。

 サンディエゴの活動家ウーゴ・カストロの場合はメキシコとの国境を成すカレクシコの入国管理国でキャラバンに加わる理由、どこから資金を調達するのか、国境を通過する際にキャラバンの移民にいくらのお金を渡すのかといった質問を浴びせられたそうだ。それを米国のスペイン語放送ウニビシオン・ノティシアス(Univisi?n Noticias)で明らかにした。

◆重大な人権侵害の可能性

 NBC7がこの機密を明らかにした以後、税関・国境取締局はデーターベースに記載された人たちはティフアナでキャラバンの移民が到着してから地元市民らとの紛争などに関わった時にそこに居合わせたジャーナリストらで、彼らがその紛争にどこまで関与したか調査するものであったと税関・国境取締局は明らかにしたという。しかし、警戒を要する人物だとして彼らのパスポートに密かに印をつけるのは人権侵害で異常な事態であろう。(参照:「El Pais」、「Univision」)

<文/白石和幸>

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身

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