世界最大の石油埋蔵国ベネズエラがガソリン不足に。スタンドには長蛇の列

世界最大の石油埋蔵国・ベネズエラでガソリン不足 スタンドで並び5日間待つ場合も

記事まとめ

  • 世界で最も石油の埋蔵量が多いとされる國・ベネズエラでガソリンが不足しているという
  • 給油するのに24時間待ちとか、ガソリンスタンドの列に並び5日間待つ場合もあるそう
  • 採油が後退しているうえに6カ所ある製油所の2カ所が平常の10%余りしか機能していない

世界最大の石油埋蔵国ベネズエラがガソリン不足に。スタンドには長蛇の列

世界最大の石油埋蔵国ベネズエラがガソリン不足に。スタンドには長蛇の列

写真は2017年のガソリン不足時。 photo by VOA (Public Domain)

◆世界最大の石油埋蔵量国でガソリン不足!?

 世界で最も石油の埋蔵量が多いとされている国ベネズエラ(参照:「Statistical Review of World Energy」-BP)で今、全国レベルでガソリンを給油するのに長蛇の列が続くという現象が起きている。

 ふんだんに石油が埋蔵されているのにガソリンが不足しているというジョークにでもなりそうな現象であるが、給油するのに24時間待ちとか、3日間ガソリンスタンドの列に加わって車の中で寝泊まりするという事態も起きているという。5日間待たされる場合も場所によってはあるそうだ。

 最も被害が顕著なのはコロンビアとブラジルに接した国境地域だという。ガソリンが不足する以前から国境地域ではベネズエラの非常に安価なガソリンを隣国に持ち込んで隣国の市場価格よりも安く提供して利益を上げる商売が行われていた。ベネズエラ国内でガソリンが不足しているという事態になっても、それが習慣化してしまっているのだ。(参照:「El Confidencial」)

◆埋まっているけど採掘できない

 ガソリンが不足している原因は原油の採油が大幅に後退しているということ。また、採油された原油を製油するにも国内に6か所ある製油所の内のアムアイとカルドンの2か所しか機能しておらず、それも平常の10%余りしか機能していないからである。しかも、以前はガソリンが不足しても原油を米国にあるベネズエラ石油公社の子会社CITGOに送れば物々交換で米国からガソリンが提供されていた。しかし、今は制裁の影響でそれが不可能となっている。(参照:「El Confidencial」)

◆ガソリン不足の影響は甚大

 ガソリンの不足で輸送手段の機能が大幅に後退し、生産工場への原材料の輸送が出来ない状態が続いている。しかも、不足している食料の輸送も更に困難になっている。特に、3つの州タチラ、ツゥーリア、メリダでは多くの機関の機能がストップしており、学校は休校、食料も配送できない状態になっているという。銀行も現金が不足している。(参照:「El Nuevo Siglo」)

 タチラ州のライディ・ゴメス州知事によると、同州の生産機能の60%がストップした状態で、牧畜産業は破産状態にあり、果物や野菜は配送できないということで傷みがひどくなっているという。

 ツゥーリア州の首府マラカイボの住民カルラ・カドゥレミさんはガソリンを給油するのに列に並ぶ為に一日の仕事が出来なくなっているそうだ。同じく、デニス・カレロさんは「子供を学校に連れて行くのも緊急事態のようになってしまった。普段行っていたことが緊急を要した状態になり、外出するにもどのようにすれば良いのか分からない状態だ」と語った。更に彼は「ガソリンスタンドから離れたところで20リットルのガソリンを20ドルで売っている」といって批判した。彼が言うに「他の国だと当たり前のような価格だが、ベネズエラではガソリンの価格はこれまであってなきようなものだったからだ」とも指摘した。

 メリダ州ではロス・アンデス大学の教師が登校できないということで休校になっているそうだ。そのひとり、カルロス・ラミレス講師はワッツアップでどこのガソリンスタンドで給油できるといったグループで情報を交換しているそうだが、タンクローリ車が到着するまで3-4日列に並んで待つのだそうだ。だから住民は買い物や子供を学校に連れて行くことなどができない。公共の交通機関も同様で機能していない」と語っている。(参照:「France24」)

◆このまま行けば大パニックにも……

 20年前まではベネズエラの石油公社は採油において世界から注目を集めていた。勿論、同石油公社はベネズエラ経済成長に最も貢献していた。日毎に120万バレルを製油していたのが、今では7-12万バレルという大幅に減産している。

 現在の国内需要は20万バレルを少々下回る量だとされているが、それでも現行の製油量では需要に応えらない。このような状態が今後も続くことになると、6月中旬には国全体がパニック状態になると予測されている。

<文/白石和幸>

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身

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