iPhone11、タイでも発売されるけど、もしかして安く買える?

iPhone11、タイでも発売されるけど、もしかして安く買える?

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◆タイでもiPhone、サムスンは人気

 タイはSNSの利用率が高い。端末もキャリアとの契約が不要なSIMカードのないタブレットなどもあり、価格帯もピンキリで揃っているので、極端な例ではホームレスでさえSNSを使っていることもある。

 タイに限らないが、東南アジアで人気の端末メーカーは韓国のサムスンだ。東南アジア人はいわゆる自撮りが好きで、サムスンや中国メーカーの中でも特にカメラ性能が高い機種に人気が集まっているように見受けられる。ただ、タイ人の正直なところを見ると、iPhoneを本当は買いたいと思っている人が少なくない。

 東南アジアは中国に似ていて、所持品などでステータスを見せびらかしたいという気質(というか、見栄)が少なからずある。iPhoneは高価なので手が出ないが、買えるなら買いたいという中流層が案外多いのだ。

 韓国や中国メーカーなら数千円から購入することができるが、iPhoneともなれば数万円はくだらない。そこは日本と変わらないのだが、1万円を下回っている機種などと比較すると手が出しにくい。タイ人は特に総合的にコストパフォーマンスなどを考えることはあまりなく、目の前に提示された価格(数字)で単純に高低を判断する傾向にあるからだ。そもそも平均所得がタイは3万バーツ(約10万円)に届いていない。ローンを組むとしても、買うにはそれなりの決断がいる。

 タイは中古携帯市場も活発だ。そもそもSIMフリーなので、買い替え時などに端末を廃棄するのではなく、SIMカードを抜き、データを消去、あるいは初期化して中古販売店に買い取ってもらえる。タイでは携帯電話はステータスシンボルのひとつでもあるので、人気機種は比較的高値で売れるというメリットもある。

 スマホ全盛時代に入った今、やはり値が下がらないのが、Androidであればサムスンであり、もうひとつはiPhoneになる。正規販売店、並行輸入のショップ、キャリアのSIMカードとの抱き合わせ販売などでタイ人はスマホを購入している。

◆iPhone11、タイでの価格は?

 先月、iPhoneの最新機種である「iPhone11」が登場したので、タイの価格を見てみた。

 タイのiPhone11の価格は下記のようになっていた。ただし、タイ国内の正式発売は10月18日のため、取材時の価格設定はあくまでも一般に報道された価格設定になっている。

・iPhone11(レート3.5円の場合)

64GB:24,900THB≒87,150円(74,800円)

128GB:26,900THB≒94,150円(79,800円)

256GB:30,900THB≒108,150円(90,800円)

・iPhone11 Pro(レート3.5円の場合)

64GB:35,900THB≒125,650円(106,800円)

256GB:41,900THB≒146,650円(122,800円)

512GB:48,900THB≒171,150円(144,800円)

 カッコ内は日本のアップルストアで提示されている取材時点の価格(税別)だ。タイ・バーツの価格は上記のようになっているのだが、問題は為替レートになる。単純に日本人在住者が計算する1バーツ≒3.5円で計算すると、日本の消費税10%を考慮してもタイの方が高い。2019年は3.4〜3.5円で月平均が推移しているので、実質的にもこの水準になるだろう。

 ここ2年くらいでいえば、2017年4月が3.2円ジャストと最も有利なレートだった。このレートではどうだろうか。

・iPhone11(レート3.2円の場合)

64GB:79,680円

128GB:86,080円

256GB:98,880円

・iPhone11 Pro(レート3.2円の場合)

64GB:114,880円

256GB:134,080円

512GB:156,480円

 3.2円のときならタイで買った方がわずかだが安いということになる。1バーツ≒3.2円とは、1万円札を両替した際に3,125バーツ以上になるときを指す。バンコクなら闇両替所と呼ばれる政府公認両替所がいくつもある。そこで両替をすれば、タイミングによってはそのレートをクリアすることは難しくないだろう。

 並行輸入のショップなら場合によっては正規店よりも安い場合もあるだろう。中古が市場に流入するのも日本よりは早いので、タイの中古市場も今後は注目かもしれない。

 わざわざ日本から旅費を払ってiPhoneを買いにタイに来るのは無意味だが、たまたま旅行でタイに来て、ということであれば観光のついでに買って得することができるのではないか……と思ったがそんなに甘くもなかった。

◆ただ、大きな問題が

 大きな問題が日本側で立ちはだかるのだ。日本の電波法によって、海外で購入したスマホを日本国内で使用するためには「技術基準適合証明等」のマーク、通称「技適マーク」がなければならない。タイ国内で販売されるスマホにはこのマークがない機種が多い。どのスマホも設定ページから認証や認可などに関するページに進めば確認できる。もし、この技適マークがない場合、万が一摘発されることになれば、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が待ち受けている。

 今のところ、技適マークの違反での摘発例は聞いたことがない(技適マークに関した逮捕案件はあるが、スマホではなく無線機だった)。というのは、電波法はどちらかというと、日本国内で使われている無線などの電波を妨害させないための法令であり、同時に発見するには高度な設備や捜査人員が必要なため、テロの脅威などがない限り、わざわざ個人のスマホにまで目が届かないようだ。

 それから、外国人の訪日人数も増加しているので、外国人が自国で使用しているスマホの持ち込みも日常的に行われている。そこで電波法では、たとえば第4条2項で総務大臣が認めた外国の技術基準承認を受けている端末であれば、入国から90日を超えない期間、日本の技適マーク適合機種とみなすとされている。音声通信は困難だが、データ通信であれば、少なくとも90日以内は問題がないということになる。

 日本に住所を置く人が、たとえ90日連続で日本国内に滞在できないほど海外出張が多いとしてもかなりグレーゾーンになってしまうが、少なくとも、決まった国に長く滞在・出張するならその国で端末を買ってしまった方がいいかもしれない。特にタイなら日本人にとってビジネス環境や市場が拡大しつつあるので、タイが安ければ選択肢のひとつになる。

 で、肝心のiPhone11の技適マークはどうなのか? 残念ながらタイの発売は18日なので、タイで発売されるiPhone11に技適マークがあるか否かはわからなかったが、過去にタイのアップルストアで販売されたiPhoneX、それからiPhoneXsを確認してみた。すると……。

 残念ながら日本の技適マークはなかった。iPhone11が現状(取材時)は市場に存在していないので確認できないが、技適マークがない可能性が高いだろう。一方では「iPhone」といっても国によって中身のタイプが違うので、もしiPhone11が日本の総務省で認可されたタイプと同じなら問題がないことにはなるが、果たしてどうなることか。

 また、当然ながらタイで購入すれば保証関連はタイ国内のルールに準拠する。いずれにしても、日本人が日本で使うためにタイでiPhoneなどスマートフォンを購入すると多少のリスクが伴う。トラブル対処を自分でできる自信がある人なら検討の余地がありそうだ。

<取材・文・撮影/高田胤臣>

【高田胤臣】

(Twitter ID:@NatureNENEAM)

たかだたねおみ●タイ在住のライター。近著『バンコクアソビ』(イースト・プレス)

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