タイのナイトライフに増える日本人女性。最近、ちょっとした話題になった「ゴーゴーボーイ」って?

タイのナイトライフに増える日本人女性。最近、ちょっとした話題になった「ゴーゴーボーイ」って?

プーケットのバー。田附氏のSNSは過激内容故にアカウント凍結が多いが、Twitterなら連絡が付きやすいという

◆タイのナイトシーンに目立ち始めた日本人女性たち

 東南アジアは全般的に男性より女性が勤勉だと言われる。文化的な背景や人々の気質から楽観的な男性が多い一方、女性は家族や子どもを養わなければならないという現実的な問題もあり、よく働くのだ。タイも同様で、女性の社会進出は日本とは比較にならないほど進んでいる。日系企業を含めて外資の大手企業でも役職に女性が就いていることは珍しくない。

 しかし、日本の女性も近年は行動的になってきおり、その一片がタイのナイトシーンで垣間見えるようになった。

 タイの首都バンコクは昭和の頃から聖地をもじって「世界3大性地」などと言われていたようにナイトスポットが多い。

 もちろん、近年のタイは、ビジネス拠点として日系企業や日本人起業家たちが訪れるようになり、また海外旅行先としてたくさんの人が訪れるのでだいぶ変化したが、2000年代初頭は独身男性がタイに遊びに行くと言うと夜遊びを楽しみに行くのではないかと疑われたものだ。

 そんな男性にとってのナイトスポットだったタイが今、日本人女性の遊び場にもなりつつある。それも、洒落たパブやクラブで踊り明かすといった遊び方だけではなく、男性同様、タイの「性」を楽しむ女性が増えているのだ。

◆明るく爽快感すらある楽しみ方

 近年はTwitterやFacebook、Instagram、ブログで個人が情報発信をすることが当たり前になった。そういった女性がSNSなどで赤裸々にタイの夜を語り始めている。匿名で情報公開できることから、これまでも多くの日本人男性が体験談を他者に見せることはよくあったが、自慢が前面に出ているか、非日常的な背徳感が滲むタイプが多かった。しかし、女性の語りは実にあっけらかんとしていて、爽快感すらある。そこに日本人女性のパワーを感じずにはいられない。

 確かに、十数年前からタイ人男性を目当てにタイに来る日本人女性は少なからずいた。それ以前ならインドネシアのバリ島にビーチボーイを目当てに行く人がいたように、タイ南部のリゾート地プーケット近辺に行く女性もいたし、バンコクのナイトバーで売春男性を探す人もいた。そういった女性の層にも変化が見られるのだ。

 バンコクに日本人向けに特化したナイトスポットがある。日本のキャバクラに似たシステムで遊べるタニヤというエリアで、ここに夜遊び好きで知らない人はいないという人物がいる。自身を「世界のタズヤン」と呼ぶ田附裕樹氏(Twitter ID:@hikaruko0723)だ。氏は男性向けのカラオケクラブを経営する。サービスタイムに女性が服をはだける、いわゆる「おっパブ」をバンコクで初めて始めたのだが、驚くべきことに、氏の店の顧客の一部は日本人女性だったりする。

 なぜ日本人女性がタイのおっパブに来るのか。そして、夜の世界の表も裏も知る田附氏に日本人女性の夜遊びはどう映るのかを訊いてみた。

「昔は年配の女性が男を買いに来るという印象だったのが、年々若い女性が増えてますね。最近は20代がほとんどです。平均年齢は20代中盤から後半くらいでしょうか。職業はバラバラですが、水商売経験者が比較的多い印象です」

 日本人女性が田附氏の店に来るのは女性目当てではなく、田附氏に会いに来ている。タレントに会いに来るようなニュアンスもあるが、彼女たちの本当の目的は氏に夜の店を案内してもらうことだという。

◆インスタ経由でガイドを依頼

 田附氏を訪ねてくる女性たちは、どういう経緯で彼を訪れるのだろうか。

「知り合いの紹介もありますが、まったく初めての方もいます。SNSで連絡をくれるのですが、一番多いのはインスタです。#バンコク夜遊び、#ゴーゴーボーイなどのハッシュタグで検索して私をみつけるようですね。このところはゴーゴーボーイへのアテンドを希望される方が多いです。3、4年前はショーだけを見て満足される方が多かったのですが、最近はゴーゴーボーイたちをペイバー(お持ち帰り)する方も増えていますね」

 ゴーゴーボーイとは本来は男性の同性愛者向けナイトスポットだ。元々ゴーゴーバーというものがある。ベトナム戦争時に米軍兵士が休暇で訪タイしていたので、バンコクや東部のリゾート地パタヤに米ドルを目当てにした売春バーができた。そこで水着を着た女性がステージで踊り、男性客が気に入った女性を連れ帰る。これの同性愛者向けがゴーゴーボーイになる。

 しかし、ゴーゴーボーイで働く男性は必ずしも同性愛者というわけではない。性的指向はいわゆるノーマルの男性が、仕事と割り切って同性愛者の男性とホテルに向かうということも少なくない。そのため、ゴーゴーボーイは女性客も歓迎しているし、ゲイではない男性ダンサーとしても女性客の方が喜ばしいのだ。

◆貧富格差でなくなりはしないタイの性風俗産業

 ひとつ付け加えておくと、タイの場合、貧富の格差が著しい。そのため、貧困層の家庭に生まれると負の連鎖から抜けることが困難になる。学歴も重要で、高卒レベルでも高収入の職に就くことがタイではほぼ不可能と言っていい。そのため、中には違法薬物の売買やこういった性風俗産業に従事するしか大金を稼げるチャンスがない場合もある。

 また、タイは家族思いの人が大半であり、同時に親の世代を子が養うということが一般的なため、家族構成によってはたったひとりの子が数人以上の扶養者を背負うことになる。そうして性風俗産業でチャンスを掴もうと考える、あるいは働かざるを得なくなる。タイでは日本のように遊ぶ金ほしさに売春をする人はほとんどおらず、やむを得ず身体を売るしかない人ばかりだ。

 筆者としてはタイの性風俗産業を全力で肯定するつもりはない。しかし、一方で日本人がこの世界に落としていくジャパンマネーがこうした産業で従事せざるを得ない人々を救う現実も見てきている。だから、日本人女性の夜遊びへの情熱がタイ人男性とその家族に貢献していることは間違いない。

 では、そんな彼女たちは夜遊びにどれくらい日本円を落としていっているのだろうか。田附氏に改めて訊いてみた。

◆遊び方は「日本人男性と同じ」

 タイでゴーゴーボーイと遊ぶ日本人女性。どのような遊び方をするのだろうか?

「これは年齢や職業に応じて千差万別です。財布の紐が固い方と、大盤振る舞いされる方に二極化しています」

 中には気に入ったゴーゴーボーイを日本に招待する人もいれば、男性とプーケットなどのリゾート地へと旅行する人もいるそうだ。ナイトシーンで出会ったタイ人女性と旅行に行く日本人男性と遊び方が変わらない。田附氏から見て、日本人女性の遊び方は上手なのだろうか。

「日本人男性と同じ印象です。お金で割り切ってきれいに遊ぶ方も多いですし、恋愛感情や痴情のもつれに悩んでる方もいらっしゃいますね」

 こういった出来事を、夜遊び好きの日本人女性は赤裸々にブログやTwitterに掲載する。ある事情通に聞いた話では、ゴーゴーボーイにハマりすぎ、タイで暮らす日系企業の日本人駐在員と結婚し、駐妻として旦那の目を盗んでゴーゴーボーイに通う人もいるのだとか。

 最後に田附氏から見て、タイで元気よく夜遊びをする日本女性たちはどう見えるのか訊いてみた。

「これまで日本人女性は”清楚で奥ゆかしく慎ましいことが美徳”とされてきましたが、最近私に連絡してくる女のコたちは全員あっけらかんとして恥じらいもなく堂々と遊びますね。

 最近の若い日本人男性に元気がないのもひとつの要因だと思います。でも、個人的には非常によいことだと思っています。今後もバンコクで夜遊びを希望する日本人女性の味方でい続けるつもりです」

 ちなみに、田附氏は先日、ある日本人女性をゴーゴーボーイに案内したことで、その女性諸共ネットで大炎上した。

 インタビューはそれ以前に行ったもので、一応記事の掲載は問題ないのか彼に確認したところ、快諾いただいた。奇しくもその炎上が、それ以前のインタビューの最後の台詞を体現したかのようだった。

<取材・文・撮影/高田胤臣>

【高田胤臣】

(Twitter ID:@NatureNENEAM)

たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など

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