日本不買運動の象徴から一転、長蛇の列となったユニクロが韓国社会で波紋

日本不買運動の象徴から一転、長蛇の列となったユニクロが韓国社会で波紋

UNIQLO ユニクロChより

 韓国による、日本とのGSOMIA(軍事情報に関する包括的保全協定)延長決定により、日韓関係改善の兆しが見え始めるなか、韓国内の「日本不買運動」が一つの転機を迎えている。

 韓国内の「日本不買運動」は、多岐に渡る日本製品が対象となっていたが、その象徴の一つとされたのがUNIQLOであった。UNIQLOが不買運動の象徴となったのには、大きなきっかけがあった。UNIQLOの「フリース25周年CM」だ。(参照:J-castニュース)

◆UNIQLOのCMは歴史歪曲?

 問題となったCMは、日本でも放送されているものなので少なからず観た事のある人がいるだろう。外国人女性が二人。一人は白髪の老婦人で、一人は背の高い少女。老婦人は服飾コレクターで少女はファッションデザイナーである。少女が老婦人に尋ねる。「私の年齢の時は、どんな格好をしていたの?」(日本語字幕)と。老婦人は答える。「昔のことは忘れたわ」。

 このCMのセリフの翻訳が韓国では少し違った。少女の問いに答える老婦人の言葉が「80年前のことは忘れたわ」となっていたのだ。韓国で80年前と言えば、日本に併合されていた時代だ。CMを観た多くの韓国人は、日本企業UNIQLOによる歴史歪曲であると批難した。

 実際の老婦人の言葉は「I can’t remember that far back.」となっており、「80年前」とはなっていない。

 事の真相を話せば、「80年前」と訳したのは、韓国人の映像スタッフである。98歳の老婦人と13歳の少女との歳の差を明確にするために、あえて「80年前」と訳したのだという。UNIQLOを運営するファーストリテイリング社は「ご指摘を重く受け止めています」とし、韓国内での同CMの放送を中止している。

 この一件により韓国のUNIQLOは、「日本不買運動」の象徴の一つになった。ソウルの繁華街でもある明洞や江南のUNIQLOにすらほぼ韓国人の客はおらず、観光客だけが訪れるという閑散とした状況が数カ月も続いていた。

◆UNIQLOに突然できた韓国人の長蛇の列

 そんな韓国のUNIQLOに11月15日、突然、韓国人による長蛇の列が出来た。韓国UNIQLOが、15日から21日までの1週間、UNIQLO商品の購入者に10万枚のヒートテック無料配布の施策を打ち出したからだ。

 この韓国UNIQLOの奇手が、韓国内の「日本不買運動」に大きな波紋をもたらしている。

◆「ユニクロを買う人が批判されることは正しいのか?」

 無料で配布される10万枚のヒートテックに群がった人たちを批判する声がネット上に拡散されたのだ。一方で、そのような批判に真っ向から対立する意見もあるという。

 韓国日報によれば、ネット上のオンラインサイトに「UNIQLOを買う事が批判されるべきことか」という文章がアップされたという。その文で筆者は「現在の時局において『不買運動』をすることが愛国だという事は認めるが、UNIQLOの商品を買う人が批判されたり、バカにされたりするのは正しいのか」と問題提起をしている。

 このような問題提起に少なくない人たちが同調のコメントを上げてもいる。

「不買運動をするもしないも正常なことであるが、不買運動をやっている、やっていないということを批判することは非正常である」。

 勿論、不買運動に熱心な人たちの批難は厳しい。

「現時点では非難されて然るべき行動」、「無料だからって群がるのはダサい」等。中にはUNIQLO商品購入者をウォッチする「巡察隊」なるネット住人たちもいるという。

<文/安達夕>

【安達夕】

Twitter:@yuu_adachi

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