タイでも「新型肺炎」が話題に。日本以上に多い発覚した感染者数が多いワケ

タイでも「新型肺炎」が話題に。日本以上に多い発覚した感染者数が多いワケ

タイの商業施設各所も春節を祝う装飾になっていた

◆タイでも「コロナウイルス」が話題に

 連日中国の新型コロナウィルスについてのニュースが飛び交っている。

 これは日本だけでなく世界中で注目され、東南アジアのタイでもこの話題で持ちきりになっている。実際にタイ国内で訪中者の感染者が発覚しており、街中にはマスクをしたタイ人が急増している。

 執筆時点での日本国内の感染者数は日本人男性ひとりを含む7人とされるが、タイはその倍の14人になっている(うちひとりがタイ人女性で、5人が完全回復して医療機関から退院している)。タイ国内で感染した患者や感染拡大は今のところ見られないものの、タイ国内の方が感染者が日本よりも多く入ってきていると見られる。

 今年は中国の春節(旧正月)が1月25日だったので、春節休みは24日から今月30日までが一般的のようだ。この時期にはタイに観光に来る中国人も少なくない。

◆日本以上に中国と密接なタイ

 そもそも、タイは日本よりも中国人観光客が多く訪れる。2019年に日本を訪れた中国人の数は日本政府観光局の発表では約960万人だ。同年のタイは、タイ観光スポーツ省の発表で前年比4.4%増の1099万人超、1100万人に迫る人数になっている。香港や台湾を合わせると日本の方が多いが、今回の新型ウィルスの感染源と考えられる地域を母国とする中国本土の人たちは圧倒的にタイの方が多いのだ。

 それに加えて、タイは中華系住民も少なくない。一般的に日本人がイメージするタイ人は肌が褐色の人たちだが、彼らはいわゆるタイ族となる(もっと細かく言えば小タイ族とも呼ばれる)。タイは1800年代から太平洋戦争終結後にかけて中国からの移民が多かった。そして、タイ政府はそれら移民との同化政策をとっていたので、マレーシアやシンガポールと違い、中華系であってもアイデンティティーはタイ人になっている人が大半だ。

 しかし、近年は若い人の間で自身のルーツを追求したり、またタイと中国の双方が経済的に発展していることから、中華系タイ人が中国との貿易を行って、関係を深めたりなどしている。

 また、タイは日本旅行が大ブームになっているが、日本以外で行きたい国を若い人に訊ねると、多くが中国と返してくる。どうもタイで放映されている中国の連続ドラマが時代劇のような内容でおもしろいらしく、特に成都などの古都に行きたいという人が多かった。

 こういったことから、タイは日本以上に新型コロナウィルスの爆発的感染拡大も懸念されている。中国政府は海外への団体旅行をしばらく認めないと発表しているが、個人旅行は可能なようなので、タイに来る中国人は激減するとはいえ、一定数は残るだろう。

◆在留邦人の間で不安に感じる人も

 報道によっては爆発的に感染者数が増えるのは4〜5月とも言われる。この時期はタイの旧正月にあたり、水かけ祭りとして世界的に有名なので観光客がどっと訪れるタイミングでもある。また、3月から5月まではタイは夏休みにあたるので、多くの人がタイ国内だけでなく世界中へと移動する。タイにおいてより感染者数が増える土台はすでにできあがっている。

 真偽は不明だが、SNSの書き込みでは”WHOが新型コロナウィルスのハイリスク国の1位にタイを挙げている”などといったものも見られる。執筆時にWHOのサイトでその記事は発見できなかったが、在住日本人たちは、真偽はともかく前述の事情もあって「なんか本当っぽい」と思っている人も少なくないようだ。それくらい、タイは危なそうだと肌で感じているからこそ、タイ人の多くがマスクをかけ始めている(それ以前にタイはPM2.5などに空気汚染の問題もあったのでマスク人口が多くなっていたという事情も重なるが)。

◆観光シーズンが到来するタイ。来訪者も注意を

 ちょうど春節当日の1月25日にバンコクの中心地を歩いてみた。

 どこも春節を祝うイベントが開催され、多くの人で賑わっていた。観光シーズンになれば、タイ最高峰の仏教寺院エメラルド寺院や涅槃像のワットポーは観光客が増えるだろう。また、ゴーゴーバーなども閉鎖空間で人も多く、中国からの観光客も大勢で詰めかけるスポットだ。

 現状ではアルコール消毒や手洗い、うがいを徹底させたり、マスクをするなどの自己防衛対策のほか、人が多く集まる場所にはしばらく行かない方がよさそうだ。

 日本から観光で訪れる際も、日本以上に注意をしたほうがいいかもしれない。

【高田胤臣】

(Twitter ID:@NatureNENEAM)

たかだたねおみ●タイ在住のライター。最新刊に『亜細亜熱帯怪談』(高田胤臣著・丸山ゴンザレス監修・晶文社)がある。他に『バンコクアソビ』(イースト・プレス)など

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