経済危機のイタリアで、マフィアが無金利融資を開始。もちろん「裏」あり

経済危機のイタリアで、マフィアが無金利融資を開始。もちろん「裏」あり

マフィアの起源とされるシチリアのパレルモ。(写真はイメージです) photo via pixabay

◆コロナ禍のイタリアで「質屋」が密な状態に!

イタリアにはもともと1000万人が貧困者として存在していたが、コロナウイルス感染拡大で貧困者が増えている。

 イタリアが封鎖されてからほぼ2カ月が過ぎた。商取引もできない状態だ。それで資金繰りで困っている人が多くいる。それを反映させてローマ市内の質屋の前に長蛇の列ができている。ゴールドや宝石のようなものを担保にお金を借りるのだ。イタリアでは各家庭は平均して7つの宝石を所有しているという。

 イタリア国立銀行から認定を受けている質屋モンテ・デル・ペーニ(Monte del Pegni)の入口の前には朝方6時から列が出来、8時ころまでに30-40人がいつも列をつくっている。9時から受付が始まって午後1時まで営業している。僅か4時間の営業では並んでいるお客の全員に応対できるわけにはいかない。そのため翌日も列に並ばねばならなくなる人も結構いるという。(参照:「ABC」)

 因みに、アッシジの聖フランシスコが布教活動をしたペルージャで高利貸しの犠牲にならないようにと願って1462年に誕生したのがこのモンテ・デル・ペーニだ。

 銀行ではなく質屋を利用するのは預ける担保の品と身分証明書だけで手続きが済むからだ。そして直ぐにお金が手に入る。銀行ではそうは行かない。融資されるまでに色々と手続きを踏まねばならないから時間がかかる。

 イタリアで最大のファイナンシャル・サービスを提供しているアフィデ(Affide)では最近お客が3割増えたという。支店の場所によっては5割増しだそうだ。

◆経済危機を利用してマフィアの動きも活発化

 モンテ・デル・ペーニはちゃんとした融資業者である。ところが、この経済危機を利用してマフィアの動きが活発になっている。

 マフィアのことについて熟知している著名なジャーナリストで作家のロベルト・サビアノは「彼らはこの危機を利用して無金利で融資をしている。見返りに色々なことを頼むためだ」と語って、マフィアの動きに警告を発している。更に、彼は「EUが早急に支援に入らない場合は、マフィアの資金が急激に市場に出回るようになる」と警告して、ブリュッセルにとっても問題となることを指摘した。

 同様に、彼は「マフィアは何をすべきか、何が不足しているのか、ということを良く知っている。彼らの条件でそれを提供するのだ」と語り、この数年で医療分野でもマフィアが上層部にまで侵入していることを指摘した。

◆国の支援策が十分でなければマフィアが力を伸ばす

 彼はマフィアの活動について具体例を挙げている。

「食料の配給がパンデミックの影響で遅れるようになった時に、禁止されている間隙をぬってそれを手早く配給するのがマフィアだ」

「パンデミックはマフィアにとって理想の場だ。その理由は簡単だ。もし空腹だったら、パンを探すだろう。それがどのパン屋で作られたかということや、誰が配給しているのかということなど問題にはならない。それが必要であれば、それにお金を払う。誰がそれを売っているのかということは尋ねやしない。相手を選ぼうとするのは平和で福祉豊かな時だけだ」

 更に、彼は警告として、「もし国が危機にある企業を救援するための即座の行動を取らない場合は、もう遅い」「コロナウイルスが感染しないところでも、マフィアはそこまで到達できるからだ」と語って、危機にある企業がマフィアから資金を乞うようになる可能性は十分にあると示唆したのである。

 パレルモの検事フランシスコ・ロ・ボイも数日前のビデオ講演で外国の記者に向けてこのコロナ・パンデミックを利用してヨーロッパから訪れる観光客を対象にマフィアが観光分野でも強い関心を払っていることを指摘した。(参照:「La Nacion」

 危機の時に最前線で活動するのはどこでも犯罪組織である。それを金儲けの良い機会だと見るからである。その意味で、パンデミックで国が麻痺しているイタリアでマフィアは活躍の場を復活させているのである。

<文/白石和幸>

【白石和幸】

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身

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