中露「アジアにINF配備なら対抗」 米国を牽制

 【モスクワ=小野田雄一、北京=藤本欣也】エスパー米国防長官が、アジア太平洋地域に地上発射型中距離ミサイルを配備したい、との考えを表明したことについて、ロシアや中国が強く反発している。配備されれば中露両国は対抗措置を取る意向を示しており、米露間の中距離核戦力(INF)全廃条約の失効を受け、同地域で軍拡競争が加速する可能性が高まっている。

 エスパー氏は今月3日、INF全廃条約が失効したことを踏まえ、同地域に中距離ミサイルを配備したいとの考えを示したが、配備時期については「数カ月でできればいいが、それ以上かかるだろう」と述べた。

 これに対し、ロシアのリャプコフ外務次官は5日、米国がINFを配備した場合、ロシアも軍事増強などの対抗措置を取る考えを示した。また、日本での陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」配備計画について「攻撃転用可能であり、ロシアも(対応を)検討している」などと述べた。

 財政難が続くロシアは、米国との本格的な軍拡競争は避けたいのが本音。今回の発言には米国を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。

 リャプコフ氏はエスパー氏の発言に先立ち、露メディアのインタビューで「米国と北大西洋条約機構(NATO)に対し、相互にINF配備を一時猶予することを提案している」と明かしていた。

 一方、中国外務省の華春瑩(か・しゅんえい)報道官も5日、「中国は自国の利益が損なわれることを決して座視しない。いかなる国であろうと中国の“玄関口”で面倒なことを引き起こすのも許さない」と指摘。米国がミサイルを配備すれば「あらゆる必要な措置を取り、国家の安全保障上の利益を断固として守る」と述べ、対抗措置を取る考えを示している。

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