政権発足直後に早くも不信任の動き ジョンソン英首相 総選挙実施も

 【ロンドン=板東和正】7月24日に就任した英国のジョンソン首相に対し、早くも内閣不信任決議案を提出する動きが出ている。保守党など与党勢力は下院で、わずか1議席差でかろうじて過半数を維持しているにすぎず、1人が造反すれば不信任決議案は可決し、総選挙が実施される公算が大きい。そうなれば、ジョンソン氏が「いかなることがあっても実現する」と公約した10月末までの欧州連合(EU)からの離脱に関し、「合意なき離脱」が現実味を帯びる。

 「経済を混乱させる合意なき離脱を阻止する」

 最大野党・労働党のコービン党首は5日、英中部ダービーシャーで記者団にこう訴え、ジョンソン氏がEUとの合意なき離脱を辞さない構えをみせていることを理由に不信任決議案を提出する意向を表明した。不信任決議案提出のタイミングは、夏季休会中の議会が再開する9月3日以降、「かなり早い適切な時期」に設定するという。

 与党勢力の基盤が不安定なため、不信任決議案が可決する可能性は高い。

 現在、英下院(650議席)で保守党は北アイルランドの民主統一党(DUP)の閣外協力を得て、320議席を維持。野党勢力(319議席)との差はわずか1議席だ。不信任決議案の可決には、議長団などを除いた実質過半数の320票が必要となる。

 コービン氏が狙うのは、不信任決議案の可決でジョンソン内閣を総辞職に追い込むことだ。しかし、政権交代を狙うコービン氏らが首相に就くために必要な下院の過半数を得る保証はない。また、ジョンソン氏は下院解散の時期を遅らせることで、離脱期限の10月末以降の総選挙実施をもくろんでいるとされる。混乱の中、自動的に合意なき離脱を実現する方策だ。

 総選挙を意識してか、ジョンソン氏は首相就任後、国内向けの政策を相次いで発表している。7月末には合意なき離脱に備えた医薬品の確保などのため、21億ポンド(約2700億円)の追加予算を表明。5日には、英国内の病院の病床数の拡大や病棟の増築を行うため、18億ポンド(約2310億円)を拠出すると明らかにした。野党議員の一人は「ジョンソン氏は国内向けの政策を充実させて国民の支持を急いで集めようとしている。総選挙に備えている証拠だ」と指摘する。

 保守党のクレバリー幹事長は4日、英スカイニューズ・テレビに対し「保守党は総選挙を始めるつもりはない」とした上で、労働党の不信任決議案提出が「総選挙実施の引き金になる可能性がある」と認めた。

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