「G8復活」露はトランプ発言を静観 クリミアや制裁…条件見極め

 【モスクワ=小野田雄一】ロシアのプーチン政権は、主要8カ国(G8)の枠組みを復活させるべきだとするトランプ米大統領の発言を静観している。2014年のクリミア併合でG8を追放されたロシアにとって、G8復帰はクリミア併合の「追認」や対露制裁の緩和を勝ち取る好機となり得る。その半面、自ら復帰を望む発言をすれば足元を見られかねない。ロシアは当面、米国以外の関係国の動向やG8復帰の条件を慎重に見極める構えだ。

 G8復活案について、露外務省のザハロワ報道官は21日、「G8復活は(各国首脳の)コメントのレベルではなく、専門的な領域で議論されなければならない」などと発言。先進7カ国(G7)が公式にロシア復帰を提案した後に初めて、ロシアは検討を始めるとの立場を示した。

 クリミア併合やウクライナ東部への介入を受け、ロシアは金融や資源、軍事分野を対象とした対露制裁を欧米に発動された。ロシアの国内総生産(GDP)は14〜18年で1・2%しか伸びておらず、プーチン政権は経済低迷と支持率の低下に直面している。

 「ロシアは(G8復帰に関する)協議を制裁緩和の議論に利用できる。対外政策の正しさを自国民に証明することも可能だ」。露経済紙ベドモスチの22日付社説は、プーチン政権の本音をこう代弁した。

 ただ、ロシアがG8復帰や制裁緩和を自ら懇願することはない。体面を重視しているのに加え、自国の立場が弱まることを警戒しているためだ。中国やインドといった新興国が台頭した中、プーチン政権が「G7は廃れた組織だ」と考えていることもある。

 18年にトランプ氏がG8復活案に言及した際、ロシアは「われわれは一度も復帰を求めたことはない。20カ国・地域(G20)の方が有用だ」と主張した。

 「ロシアが復帰しても、1(ロシア)対7(G7)の構造が続けばロシアにとって不利なままだ。ロシアはG7側から経済制裁を受けており、平等ではない」。露上院のコサチョフ国際問題委員長はこう述べた上で、「中国とインドを加え、G10とすべきだ」との認識を示した。

 プーチン政権はクリミア併合について「問題は解決済み」とし、一切の協議に応じない構えだ。G8に絡む議論を有利な形で展開させるべく、関係国の動向を注視するとみられる。

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