NBAコミッショナーが中国の「言論封殺」に対抗 ロケッツ幹部が香港デモ応援の投稿

記事まとめ

  • NBAのヒューストン・ロケッツ幹部が香港デモを応援する投稿をし中国が反発、謝罪した
  • その後、NBAコミッショナーのアダム・シルバー氏は声明を発表、ロケッツ幹部を擁護
  • 中国国営中央テレビは、既に中継中止を決めていたNBAの試合に加え、別の中継も中止に

NBA、中国の「言論封殺」に対抗 バスケ人気の中国を揺さぶるか

 【ワシントン=黒瀬悦成】米プロバスケットボールNBA「ヒューストン・ロケッツ」の幹部が香港のデモを応援する投稿をし、中国政府が反発して事実上の謝罪に追い込まれた問題で、NBAは中国の「言論封殺」に対抗する姿勢を打ち出した。人口14億人の巨大市場への参入をエサに、台湾や香港の問題で米企業などに賛同や沈黙を迫る中国の圧力に、米有力団体として実質的に初めて「ノー」を突きつけるもので、バスケ人気が過熱する中国に揺さぶりをかけることができるかが注目される。

 この問題は、ロケッツの幹部が「自由のために戦い、香港を支持しよう」とのメッセージをツイッターに投稿したのが発端。中国政府が不満を表明したのを受け、同幹部は投稿を削除し、「中国のファンを怒らせるつもりはなかった」と釈明した。

 しかし、NBAコミッショナーのアダム・シルバー氏は8日、「NBAは選手や職員、オーナーに対し、一連の問題に関する発言を制限する立場にない」との声明を発表し、ロケッツ幹部の発言を擁護した。

 すると、中国国営中央テレビは、シルバー氏がロケッツ幹部を支持したとして「強い不満と反発」を表明。既に中継の中止を決めていたNBAの試合に加え、別の試合の中継も中止すると発表した。

 NBAが当初、中国の圧力に屈する姿勢を示したことに対し、共和党のサス上院議員は「NBAは(人権よりも)カネが最も大切なのだ」と批判。民主党のシューマー上院院内総務は中国の対応に「米国人が自由について発言することを封じるようなルールが課せられてはならない」と訴えるなど、事態を重大視する意見が急拡大している。

 中国ではバスケットボールの人気は非常に高く、競技人口は約3億人。また、人気を牽引(けんいん)するのはNBAであるとされ、AP通信によれば、昨シーズンは約5億人が少なくとも1回はNBAの試合を観戦したという。NBAも北京と上海に事務所を置き、中国戦略を積極的に展開している。

 一方、中国政府は経済政策の一環としてスポーツ市場の拡大を推進。NBAは既に中国の大衆文化に深く浸透しているといえ、米国内ではNBAが中国を必要とする以上に中国がNBAを必要としているとの意見も強い。

 米紙ウォールストリート・ジャーナルは「NBAなき中国は想像しにくくなっている」と指摘し、「NBAは他の米企業に比べ、(中国の圧力を)押し返しやすい強い立場にいる」と指摘した。

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