アサド政権軍が北部に展開 クルドと異例の協力、トルコに対抗

 【カイロ=佐藤貴生】シリアのアサド政権軍は14日、トルコ軍が制圧を進めるシリア北部に兵力を展開した。少数民族クルド人主体の民兵組織「シリア民主軍」(SDF)がトルコの攻撃で劣勢となり、政権軍を北部に招き入れたもようだ。シリア全土の制圧を目指すアサド政権はSDFとは敵対関係にあり、双方の協力は異例。政権軍はロシアの支援を受けており、シリア北部の情勢は緊張の度を増している。

 シリア国営メディアによると、アサド政権側は14日、シリア北東部や北部の町に兵を進めた。地元テレビは国旗や自動小銃を掲げてトラックで現地入りする政権側兵士の映像を放映。シリア北部で制圧を進めるトルコ側の地上部隊に接近しているもようだ。

 トランプ米政権は13日、シリア北部に駐留する米兵に全面撤収を指示。米軍と連携してイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)を掃討したSDF幹部は14日、米軍の保護とは「別の選択肢」が必要となり、アサド政権やロシアと対話したと述べた。政権側を北部に招き入れたのは国境を守るための「暫定的な合意」に基づくもので、政治に関する問題は後で討議するとしている。

 一方、自国国境に沿ってシリア側に「安全地帯」を設置する方針のトルコのエルドアン大統領は14日、シリア北部の制圧を「完全な勝利まで続ける」と改めて表明。トルコ、ロシアとも双方の軍事衝突は起きないとしている。

 ISの元戦闘員ら1万人以上を支配地域の施設に収容しているSDFによると、約800人のIS関係者が施設から脱走した。一方、シリア人権監視団(英国)は脱走者は約100人だとしている。脱走が拡大すれば混乱がさらに深まる恐れが強い。

関連記事(外部サイト)