英離脱再び迷走 反対派動議可決…ジョンソン首相窮地に

 【ロンドン=板東和正】欧州連合(EU)からの離脱期限が10月末に迫る中、英下院で19日、EUと合意した離脱協定案の審議が行われたが、協定案への反対派の動議が可決され、予定の採決が見送られるという曲折の展開となった。ジョンソン英首相は来週の協定案採決を目指すが、国内法ではEUへの離脱延期申請を義務づけられており、英政治の混迷ぶりが再び露呈した形だ。

 協定案採決を留保する動議を支持した多くは、ジョンソン氏がEUと合意した協定案に反対していた議員らだ。ジョンソン政権に閣外協力する北アイルランド民主統一党(DUP)では全10議員が動議への賛成に回った。

 17日にEUと新たに合意した協定案では、最大の懸案だったEU加盟国のアイルランドと英領北アイルランドの国境管理問題に関する条項を修正した。だが、北アイルランドのみがEUの税関手続きに従うとの内容に、英本土との一体性を重視するDUPは早々と反対を表明していた。

 協定案を「拒否すべきだ」と訴えていたコービン党首率いる最大野党・労働党の大半の議員も動議に賛成した。協定案への反対派は動議可決で離脱延期を迫り、10月末の離脱を目指して合意した協定案を「水の泡にする」(野党支持者)ことを狙ったとみられる。

 一方、ジョンソン氏は来週に協定案の採決を行う方針で、離脱に必要な関連法案も提出する考えを示したが、今回の動議が可決したことで、採決を行っても、与党支持者は「協定案が否決される可能性は高くなった」と分析する。

 協定案が否決されたとしても、ジョンソン氏が10月末に「合意なき離脱」を強行するシナリオは否定しきれない。ジョンソン氏は延期申請を義務づけた法律について、従うなら「死んだ方がましだ」とかねて訴え、19日の動議可決後も離脱延期の交渉をかたくなに拒否する姿勢を見せた。

 英メディアによると、ジョンソン氏は延期をEUに申請する場合でも、「政権は延期を望まない」と明記した付随文書を一緒に送付することを検討。政権の「真の主張」を訴え、EU側に延期を拒否させる戦略を描いているともいう。

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