「南シナ海」中国主導の可能性 2日からASEAN首脳会議

 【シンガポール=森浩】東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が2日、タイの首都バンコク近郊で開催される。議長声明では中国が軍事拠点化を進める南シナ海をめぐり「懸念」の言葉が維持される見通しだが、踏み込んだ表現は避けられるもようだ。東南アジアが一枚岩になりきれない中、トランプ米大統領も不参加を決めたことで、会議では南シナ海をめぐり中国の発言力が増す展開となる可能性がある。

 6月のASEAN首脳会議での議長声明では、南シナ海について中国の名指しは避けながら「懸念があることに留意する」と表現。議長国タイの当初案に「懸念」の文言はなく、中国に反発するベトナムに配慮する形で盛り込まれた。事前に判明した今回の議長声明案によると、6月の表現がほぼ踏襲される見通し。

 ASEAN諸国で最も対中強硬姿勢を鮮明にするベトナムは今年に入り、自国の排他的経済水域(EEZ)で中国の海洋調査船が3カ月以上活動したことで反発を強めている。今回の議長声明でもより強い文言を要求する可能性がある。

 かつて対中強硬派とされたフィリピンは6月に南シナ海で中国船が自国漁船に衝突した事故をめぐり、「中国の行為は野蛮だ」(ロレンザーナ国防相)と激しく反発。一方で、10月28日には北京で南シナ海での石油・天然ガス開発に関する共同運営委員会を開くなど、ドゥテルテ政権は中国に歩み寄る姿勢も見せる。巨額の中国マネーが流入するカンボジアやラオスは親中に強く傾く。

 中国は今年に入り、南シナ海で各国の石油やガス開発を妨害し、“自国の海”として振る舞う。「長らく続くASEANの足並みの乱れは中国を利しているだけ」(外交筋)との声は絶えず、利害を調整できるかが焦点といえそうだ。

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