【米大統領選】有力候補ら情勢は トランプ人気、なお底堅く 民主指名争い混戦模様

大統領選トランプ氏基盤固く

 来年11月3日の米大統領選まで1年。トランプ大統領(73)は再選を目指して全米各地で集会を開き、政権奪還を狙う野党・民主党の候補指名争いも熱を帯びる。現在の情勢をまとめた。(ワシントン 黒瀬悦成)

 ◆疑惑も動揺せず

 トランプ氏が再選を果たすには、株価が最高値の水準となるなど好調な経済を維持することに加え、「ウクライナ疑惑」を乗り切る必要がある。疑惑はトランプ氏が同国大統領に民主党候補、バイデン前副大統領の息子をめぐる疑惑調査を求めたというもので、下院で弾劾調査が進む。

 ウクライナ疑惑に関する選挙専門家や研究者による現段階での見立てでは、トランプ氏が疑惑で致命的な打撃を受ける可能性は低いとの分析が支配的だ。

 最大の理由は、2016年の大統領選でトランプ氏を当選させた支持勢力が一切動揺せず、むしろ結束を強めているためだ。

 米政治サイト「ファイブサーティーエイト」によると、昨年8月以降に実施された主要世論調査の平均で、トランプ氏の弾劾・罷免を「支持する」の回答が5割を超えたことは一度もない。1カ月前からは「支持する」が「支持しない」を逆転して上回っているものの、「支持しない」は4割以上を維持している。

 そして、この4割こそが、同氏を熱烈に支持する有権者層に一致する。ギャラップ社によると、下院の弾劾調査決議後の1日現在でトランプ氏の支持率は39%だが、共和党支持者に限ると87%に達する。

 一方、ウォーターゲート事件で1974年8月に退陣したニクソン大統領(当時)の場合、下院が同年2月に同様の決議を行った直後の支持率は27%(退陣時は24%)。共和党支持者の間でも54%にとどまった。

 トランプ氏の支持基盤は固く、トランプ氏を罷免するかを決める上院の弾劾裁判で共和党議員が大量に離反することは考えにくい。民主党が弾劾に必要な出席議員の3分の2の支持を確保するのは困難だ。

 ◆沈む本命、左派躍進

 トランプ氏に勝てる対抗馬を擁立するための民主党の候補指名争いは、これまで本命視されてきた中道穏健派のバイデン前副大統領(76)が地盤沈下する一方、左派のエリザベス・ウォーレン上院議員(70)の躍進が目立つ。

 バイデン氏は、ウクライナ疑惑で息子の名前が浮上して保守勢力から集中砲火を浴びたほか、政策が目新しさに欠けることなどから支持率が下降線をたどり、選挙資金集めでも伸び悩みが指摘されている。

 対するウォーレン氏は、看板公約の「国民皆保険制度の導入」や大企業増税が幅広い左派層から支持される。

 政治分析サイト「リアル・クリア・ポリティクス」による各種世論調査(10月31日現在)の平均は、バイデン氏の全米支持率は26・7%で、ウォーレン氏21・3%に5・4ポイントの差をつける。3位は急進左派のバーニー・サンダース上院議員(78)で16・8%。

 ただ、指名争いの火ぶたが切られる党員集会を来年2月3日に行う中西部アイオワ州では、ウォーレン氏が22・3%でトップ。また中西部インディアナ州サウスベンド市長で穏健派のピート・ブティジェッジ氏(37)が17%で2位につけ、バイデン氏は15・7%で3位に甘んじている。

 2004年の民主党候補指名争いで本命視されたハワード・ディーン元バーモント州知事がアイオワ州や東部ニューハンプシャー州など序盤州で振るわず撤退した先例もあり、今回もこれから「伏兵」が台頭してくる可能性は十分にある。

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