英保守党、EU離脱の移行期間延長せず 政権公約を公表

 【ロンドン=板東和正】英国の欧州連合(EU)離脱が主な争点となる英総選挙が迫る中、ジョンソン首相が率いる与党・保守党は24日、政権公約(マニフェスト)を公表した。EU離脱を来年1月末までに実現するため、EUと合意した離脱協定案の関連法案の審議を年内に再開する一方、離脱後に現状の経済関係を2020年末まで継続する「移行期間」を延長しない方針を表明した。

 英下院は協定案の批准に必要な関連法の成立まで協定案の採決を保留する動議を可決しており、関連法案の骨格は英下院で承認されたものの、成立まではなお審議が残っている状態だ。ジョンソン氏は24日、英中部テルフォードで演説を行い、「離脱を成し遂げ、英国の潜在能力を引き出す」と訴えた。

 移行期間は離脱による企業や市民の急激な環境変化を緩和するのが目的。英国とEUはこの間に自由貿易協定(FTA)を交渉するが、締結できなければ、22年末まで延長できる仕組みになっている。

 しかし、保守党は関税同盟などEUから早期に“完全離脱”するため、20年末までのEUとのFTA締結を目指しており、移行期間の延長は不要と判断した。期間中は米国など第三国とのFTAを発効できないとの事情もあるとみられる。だが、野党からは「FTAを約1年間で結ぶのは難しい」との指摘が出ている。

 保守党は離脱問題のほかに、総選挙で有権者の関心が高まる医療問題についての公約も発表。NHS(英国の国民保健サービス)への支出拡大のほか、看護師の5万人増員を約束した。

 また、首相の議会解散権を縛る「議会任期固定法」の撤回も公約に掲げた。同法は前倒し総選挙をするための解散に、下院で3分の2以上の賛成を要するとしている。ジョンソン氏は、離脱について国民の信を問うために、下院で前倒し総選挙の動議を3度提出したが労働党の抵抗でいずれも否決された。保守党は、撤回を公約に掲げた理由として「国が決定的な行動を必要とする場合に(政治を)まひさせる」とした。

 一方、最大野党・労働党は離脱方針の是非を国民投票で改めて問う公約を発表している。英調査会社ユーガブによると、22日時点の保守党の支持率は42%で2位の労働党を12ポイント引き離している。下院が解散した11月6日時点でも保守党は労働党を11ポイント上回っており、保守党が優勢を保ち続けている。

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