イラク首相が辞意 デモ拡大で引責、収束見通せず

イラク首相デモ拡大巡り辞意

 【カイロ=佐藤貴生】イラクのアブドルマハディ首相は11月29日、辞意を表明した。イラクでは首都バグダッドや南部で10月初めから経済低迷や汚職の蔓延(まんえん)に抗議する反政府デモが続き、治安部隊がデモ隊に発砲するなどして約440人が死亡しており、首相は混乱の責任を取る意向を示した形だ。ロイター通信が伝えた。

 28日にはデモ隊と治安部隊との衝突で60人以上が死亡。イラクのイスラム教シーア派最高権威、シスターニ師が29日、市民の抗議に対する武力行使は許されないとの声明を出し、首相の辞意表明につながった。辞任時期は明かしておらず、国会は12月1日、対応を協議する見込み。政府の刷新を要求する市民のデモが続いているもようで、事態が収束するかは見通せない。

 イラクでは政治、経済面で影響力の浸透を図る隣国のシーア派大国イランへの反感が強まっており、27日にはシーア派聖地がある中部ナジャフのイラン総領事館が放火された。アブドルマハディ氏も過去にイランとの関係を深めていたとされ、イランはデモ発生後、シーア派の有力国会議員らに同氏の辞職を阻止して支援するよう求めたとの報道も出た。イランはデモ発生後、狙撃手を現地に送ってデモ隊を鎮圧してきたともいわれる。

 トランプ米政権の制裁を受けるイランは、イラクとの関係強化を通じて経済活性化を図る狙いとみられてきたが、デモの矛先が自国に向かう事態となり、その思惑に陰りが生じている。

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