冷戦終結を宣言したマルタ会談 30年を経て中露が米覇権に挑戦

 30年前の1989年12月3日。地中海、マルタ島沖のクルーズ船。2日間の首脳会談を終えたブッシュ(父)米大統領とソ連共産党のゴルバチョフ書記長が共同記者会見に臨んだ。

 冷戦は終わったのか−。記者から問われたゴルバチョフ氏は「私たちは、世界が冷戦という一つの時代を離れ、新たな時代に入ると言い合った」と答えた。ブッシュ氏は「われわれは永続的な平和と持続的な協力を実現できる」と応じた。

 この応答は、ソ連を軸とする共産主義諸国と米国を軸とした資本主義諸国が対立する「東西冷戦」の終結宣言として知られる。

 会談は東側のポーランドなどが民主化する東欧革命の渦中に開かれた。11月には冷戦の象徴、ベルリンの壁も崩壊し、「鉄のカーテン」は消えた。第二次大戦末期、米英ソ首脳のヤルタ会談を端緒とする冷戦を終わらせたことで「ヤルタからマルタへ」と呼ばれる。

 ソ連は共産党独裁を放棄したが経済危機は深まり、ソ連構成国の独立要求も強まった。91年12月にソ連は崩壊。民主主義の勝利を確信した米国の「1強」時代に突入する。

 だが、2001年9月11日の米中枢同時テロ後の「テロとの戦い」が長引き、厭戦(えんせん)ムードが拡大。13年、オバマ大統領は「米国は世界の警察官ではない」と述べ、トランプ大統領も同様の認識を持つ。

 ロシアは14年、プーチン大統領の権威主義体制下でウクライナ南部クリミアを併合。中国は巨大経済圏構想「一帯一路」で勢力圏拡大を狙い、米国の覇権に挑戦している。(平田雄介)

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