アフガン、治安悪化歯止めなく 中村医師銃撃、IS関与の疑い

 日本人医師、中村哲さん(73)が殺害されたアフガニスタンは、イスラム原理主義勢力タリバンと、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)がテロ攻撃を継続し、治安悪化に歯止めがかからない。支援活動を行う団体が標的となる事件も続発。米国とタリバンの和平交渉再開が明らかになったものの、近々の治安改善は見通せない状況だ。(シンガポール 森浩)

 ■タリバンは「復興NGO標的でない」

 中村さんを襲った武装勢力の詳細は分かっていないが、タリバンは今回の事件を受けて、「復興分野で活動するNGO(非政府組織)は標的ではない」と主張する声明を発表しており、ISの関与が疑われている。

 中村さんが襲撃された東部ナンガルハル州では近年、ISが台頭。米軍と政府軍が掃討作戦を展開しており、アフガンのマスード・アンダラビ内相は11月、同州において「ISの最後の拠点を破壊しようとしている」と進展を強調していた。11月だけでISからの投降者は1000人を超えたとも報道されたが、勢力根絶には至っていない。

 ■民間人死者、3カ月で1100人超

 2001年の米中枢同時テロを受けた米英軍による空爆開始以降、内戦状態が続き治安が悪化するアフガンだが、近年は国際機関や海外の支援団体が標的となる攻撃が目立つ。5月には首都カブールで米国のNGOメンバーが襲撃され、少なくとも5人が死亡。11月にもカブールで国連職員が殺害された。

 国連のまとめによると、1〜7月までにアフガンで支援活動に従事していた77人が殺害されたり負傷したりしており、昨年を上回るペースだという。また、7〜9月にアフガンで戦闘やテロに巻き込まれた民間人の死者は1174人、負傷者は3139人で、3カ月間の死傷者としては、統計開始以来最悪となった。

 米国とタリバンの和平が成立したとしても、ISなどの勢力は国内に残存する。「もしトランプ米大統領が望むように米軍が撤収となれば、治安はさらに悪化する」(アフガン外務省関係者)と懸念する声は強い。

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