トランプ夫妻「大相撲ショー」観戦のあまりにも滑稽な舞台裏

 安倍総理とのゴルフに大相撲観戦、天皇皇后両陛下との会見、拉致被害者家族との面会、宮中晩餐会……。令和初の国賓として来日したアメリカのトランプ大統領の日程は重要行事が目白押しだったが、「警備・警護」という点では、

「大相撲観戦が一番大変で、現場の緊迫感も凄まじいものがあった」

 と、警視庁関係者。

「他の重要行事については、これまでのやり方で淡々と警備を行うだけだが、アメリカ大統領が国技館で大相撲を観戦するのは初めてなのでセオリーがない。しかも国技館はすり鉢状になっており、升席にいると、360度どこからでも狙えてしまう。警備のプロは、警護対象者より高い位置に多くの人がいる状態を非常に嫌がります」

 皇族や要人が観戦する際に使われる2階の貴賓席のほうがより警備しやすかったのは間違いない。

「貴賓席に関しては、警察と相撲協会の間でちょっとした綱引きがあった。新しい天皇陛下がまだ使われたことがない貴賓席に、先にトランプ大統領を招いていいのか、という意見が一部にあったのです。ただ、そうこうするうち、官邸から“トランプ大統領は臨場感の得られる土俵近くの席での観戦を希望している”という情報が入り、貴賓席を使うという選択肢はなくなった」(全国紙デスク)

 結局、4人用の升席の囲みを外して椅子を設置する、という方法となったが、

「升席などのチケットに関しては、トランプ大統領が座るかもしれない一角を、相撲協会が事前に結構な枚数押さえていた。その時点ではまだどこに座るのか決まっていなかったので、升席だけでなく、貴賓席の周りも押さえていました」

 と、相撲記者が明かす。

「協会が押さえた席は一般販売されませんので、一般客に売り出される枚数はかなり絞られていました。最終的に正面の升席に決まった後、押さえていた他の席は、市場には出さずに親方衆やお茶屋さんなどを通じて、関係者や、身元が明らかで信頼のおける人にさばかれた、と聞きました」


■折れた協会


 千秋楽の当日、5月26日には金属探知機などを使った手荷物検査が行われ、凶器になる可能性があるビン、缶、ペットボトルの持ち込みは禁止された。飲み物を持って入るには紙の容器に移し替えなければならず、その際、“毒見”として一口飲むことまで要求したというから驚くべき徹底ぶりである。館内にある自動販売機も販売中止となり、「休場」と書かれた紙が貼られた。

「館内で警戒にあたった警察官やSPの数は100人超。相撲協会は当初、国技館内に制服警官が多数配置されることに難色を示したといいます。雰囲気が悪くなる、というのがその理由でしたが、最終的には協会側が折れたようです」(先の全国紙デスク)

 物々しい雰囲気の中で取組が続く館内がザワついたのは、残り5番となった午後5時前。通路の奥からアメリカ政府高官らしき人物やシークレットサービス(要人警護隊、SS)が現れ、観客の中には「大統領コール」をする人も。場内アナウンスの後、トランプ大統領夫妻と安倍総理夫妻が姿を現すと、館内は拍手の渦に包まれた。「U・S・A!」の連呼も聞こえ、さながらお祭り騒ぎである。トランプ大統領の姿を一目見ようと総立ちになった観客の多くはスマホを掲げている。トランプ大統領がゆっくりと席まで歩き、場内を見渡しながら観客に向かって手を振ると、大きな歓声があがった。ただし、歓迎ムード一色だったというわけではなく、

「トランプ大統領たちが入場したのは、取組と取組の間。その際、場内が騒然として数分ほど進行が中断してしまい、“早くしろよ!”というヤジがちらほら飛んでいました」(先の相撲記者)

「週刊新潮」2019年6月6日号 掲載

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