ヘンリー王子夫妻“王室離脱”の波紋 メーガン妃が黒幕で英国国民から“悪妻”と認定?

ヘンリー王子夫妻“王室離脱”の波紋 メーガン妃が黒幕で英国国民から“悪妻”と認定?

ヘンリー王子&メーガン・マークルの挙式(英王室の公式Instagramより )

■英国民も愛想を尽かした?


「メーガン妃、あなたがカナダに移住したいのならどうぞ。我々には何の問題もありません」――イギリスの世論をまとめればこんな風になるだろうと、元産経新聞ロンドン支局長で、在英国際ジャーナリストの木村正人氏は解説する。

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 どうやらメーガン妃(38)は、イギリス国民から“悪妻”と認定されたようだ。木村氏の分析をご紹介する前に、まずは基本的な事実関係をおさらいしておこう。

 1月9日午前4時49分、YAHOO!ニュースのトピックス欄に、AFP=時事の記事「ヘンリー王子夫妻、『高位』王族引退を発表」が掲載された。

《英国のヘンリー王子(Prince Harry)とメーガン妃(Meghan, Duchess of Sussex)は8日、高位王族の地位から退き、北米で過ごす時間を増やすとの電撃発表を行った》

 文字通り衝撃の内容だったわけだが、この約1時間後、木村氏は「メーガン妃とヘンリー王子が英王室を離脱する 年の半分カナダに移住」の記事をYAHOO!ニュース個人に投稿した。

《結婚と第一子アーチーちゃんの出産を巡り英メディアとの関係が極度に悪化していた英王位継承順位6位のヘンリー王子(35)と妻の元米人気女優メーガン妃(38)が年の半分ずつをイギリスと北米で過ごすことをインスタグラムで表明しました。

メーガン妃とヘンリー王子はインスタグラムにこう書き込みました。

「何カ月も考えた末、今年、英王室で進歩的な新しい役割を切り開くために新しい一歩を踏み出す選択をしました。王室のシニアメンバーとして退き、財政的に独立するように働きながら、女王陛下を支援していくつもりです。イギリスと北米でバランスを取りながら過ごす計画です」》

「今回、王室離脱の決断は、妻のメーガン妃が主導したに違いない」という見立ては根強い。なぜ、そう指摘されるのか、2人の結婚から振り返ってみよう。

 そもそもヘンリー王子とメーガン妃の結婚を、イギリス全ての国民が歓迎したわけではない。例えばイギリスの保守系大衆紙は常に猛反発を示してきた。

 メーガン妃は1981年生まれのアメリカ人。父親はオランダ・アイルランド系で、母親はアフリカ系アメリカ人とされる。

 一部報道によると、両親のなれそめは、テレビドラマの撮影現場だったという。照明監督だった父親が、メイク見習いだった母親と出会って結婚。後に母親はヨガのインストラクターに転進したという。


■メーガン妃を「奴隷の子孫」と報道


 父親が高額の宝くじに当選したとの報道もあるが、メーガン妃は中学と高校を名門の私立校に通い、大学はやはり名門私立のノースウェスタン大学に進み、演劇と国際関係を学んだ。

 卒業後はアルゼンチンのアメリカ大使館に勤務するなどしたが、2002年に女優としてデビュー。端役をこなすだけの日々が続いたが、「SUITS/スーツ」のレギュラー出演者に抜擢。2011年6月から放送が開始されると、一気に知名度が上昇した。

 同じ11年9月に映画監督やプロデューサーなどを務めるトレヴァー・エンゲルソン(43)と結婚するが、13年に別居を経て離婚した。

 こうした経歴を持つ女性とヘンリー王子が婚約したことが発表されたのだ。我々日本人でも、イギリス国内が蜂の巣をつついたような騒ぎになったことは簡単に想像がつく。

 ヘンリー王子は1984年生まれの35歳。英国王位の継承順位は第6位だ。何よりも母親が故・ダイアナ妃(1961〜1997)であり、長男のウィリアム王子(37)と共に国民的人気の高い王子とされてきた。

 そんな彼が人生の伴侶として選んだ相手は3歳年上のバツイチ、さらにアメリカ人という“外国人”であり、黒人と白人のハーフだった。

 保守系大衆紙はメーガン妃を「奴隷の子孫」呼ばわりするなど、結婚に大反対する論陣を張った。木村氏が当時を振り返る。

「イギリスの王室といえば、全世界で植民地を支配した過去を持ちます。奴隷貿易で巨額の国富を築き、禁止したのは何と1807年、19世紀に入ってからでした。メーガン妃が“奴隷の子孫”なのは事実とは言えます。そんなバックグラウンドを持つ女優さんとヘンリー王子が結婚するという発表に、私も色々なことを考えさせられました。大衆紙の強烈な論陣に賛意を示すイギリス国民が、一定数は存在したのも事実です」

 しかしイギリス王室は、2人の結婚を一貫して支持したという。

「メーガン妃の父親は2016年に自己破産するなど、波瀾万丈な人生を送っています。そうしたこともあってか、メーガン妃と父親が不仲であることは世界中の人々が知っています。結局、結婚式に父親は参列しませんでした。そのためチャールズ皇太子が(71)が実父の代理としてバージンロードで彼女をエスコートしました。それは英王室が2人の結婚を全面的にバックアップしていることを国民に示す形になったのです」(同・木村氏)

 ところが、メーガン妃とイギリスのメディア、そして国民との蜜月は、長続きしなかった。例えば18年8月、ファッション誌「ハーパーズ バザー(Harper's BAZAAR)」(日本語電子版)は「ハリー王子&メーガン妃が、ジョージ・クルーニーのプライベートジェットでバカンスへ」の記事を掲載している。

「ハリー王子とメーガン妃の行動は、伝統的なイギリス王室のものではなく、アメリカの“パワーエリート”に類似したものになっていきました。要するに“高貴なる義務”を負う王族の一員というより、日本語の“セレブ”に近い印象を持たれるようになったわけです。夫婦の友人として登場する人物も俳優のジョージ・クルーニー(58)や歌手のビヨンセ(38)、プロテニス選手のセリーナ・ウィリアムズ(38)という著名人が目立つようになっていきます」(同・木村氏)


■「閉ざされた王室」への失望


 昨年1月、メーガン妃は妊娠6か月を発表。出産によってメーガン妃へのバッシングが下火になるのではとの観測もあったというが、むしろ世論の怒りは増していく。

 木村氏の記事「メーガン妃にマタハラの嵐『妊娠はウソ』『わがまま妃』出産前にツイッターと英メディアが集中砲火」(19年4月18日)と、前出の「メーガン妃とヘンリー王子が英王室を離脱する 年の半分カナダに移住」(20年1月9日)から、メーガン妃の“問題行動”を振り返ってみよう。

◆結婚式前後からメーガン妃を支えてきたスタッフ3人が相次いで辞任。「難しいお妃」「わがまま妃」というニックネームがつけられ、「メーガン妃は独裁者のように振る舞っている」と批判した。

◆サン紙はメーガン妃が「聖ジョージ礼拝堂がかび臭いので礼拝堂全体に空気清浄機を置くよう」求めたと報道。

◆出産に備えるため、ロンドン郊外のウィンザーにあるフロッグモア・コテージを300万ポンド(約4億3789万円)かけて改装。

◆米ニューヨーク市にある五つ星ホテルのペントハウスで行われたベビーシャワー(編集部註:アメリカ発祥の妊婦を祝うパーティー)には、女子プロ・テニス選手のセリーナ・ウィリアムズやジョージ・クルーニーの妻で人権弁護士アマルら著名人が参列。費用は20万ドル(約2200万円)とも報道。

◆ジバンシーの詰まった洋服ダンスに78万7000ポンド(約1億1300万円)。メーガン妃38歳の誕生日を祝うためスペインのリゾート・イビサ島にプライベートジェットで往復。プライベートジェットのチャーター代は片道2万ポンド(約285万円)。イビサ島6泊のご予算は12万ポンド(約1700万円)。

 こうしたメーガン妃を、木村氏は記事で《エリザベス女王はストッキングが伝線するとハロッズに繕いに出していました。ハリウッド女優だったメーガン妃は派手で華があり、英国伝統の倹約精神からはかけ離れています》と指摘した。

「メーガン妃のパワーエリート的な行動の数々に、まず国内の白人貧困層が反発します。すると保守系大衆紙は更に批判。ハリー王子とメーガン妃は態度を硬化させるという悪循環が繰り返されました。そして決定的な“決裂”“となったのが、皮肉なことに昨年の5月6日の男児誕生でした。夫婦は慣例を破り、国家的慶事の情報開示に消極的な態度を示したのです」(同・木村氏)

 ヘンリー王子とメーガン妃は「出産をプライベートにしたい」という希望を表明し、高額の費用で改装したフロッグモア・コテージに引きこもっていた。

「驚かされたのは、実際の出産から8時間後になって、やっとメールで出産が発表されたことです。そもそも公人中の公人であるロイヤルファミリーに、プライバシーは存在しません。さらに王位継承権を持つ子供が誕生したのですから、最高レベルの透明性と情報開示が求められるのは言うまでもないでしょう。『開かれた王室』と真逆の『閉ざされた王室』が出現し、とうとうイギリス世論はメーガン妃に愛想を尽かすようになったのです」(同・木村氏)


■難問を抱えた王室


 メーガン妃の発表によると、ヘンリー王子の総資産は日本円で約43億円。英大衆紙デーリー・メールの報道から推定すると、ヘンリー王子とメーガン妃はチャールズ皇太子からコーンウォール公爵領の収入の一部として年196万ポンド(約2億8000万円)を受け取っているとみられる。さらに総収入のうち5%にイギリスの税金が充てられているという。

「あくまでもメーガン妃の発表ですが、『今後は、この5%については辞退するが、残りの95%は引き続き、収入源として確保したい』としているようです。またメーガン妃は『サセックス公爵夫人』ですが、この『サセックス公』を商標登録しました。物販などで新しい収入源を得ることを考えているのでしょう。さらに、イギリスの王室記者クラブには大衆紙が加盟しており、それもあって対立が激化しています。夫婦は王室離脱を口実に記者クラブとは距離を置き、自分たちに高額の出演料や取材費を提示したメディアに独占的な取材を行わせたり、夫婦で本を出版したりして収入を得るのではないか、という観測も乱れ飛んでいます」(同・木村氏)

 こうした動きに対し、イギリス国民は「税金をびた一文もらわないなら、どうぞ好き勝手にしてください。ヘンリー王子が皇室と距離を置くのは悲しいけれど、メーガン妃が消えるのは全く結構です」というのが本音――だと冒頭でご紹介した。

 しかしながら、ある意味ではすっきりした世論とは異なり、イギリス王室は今後の解決こそ大問題だ。

「ヘンリー王子とメーガン妃は無断で『皇室と距離を置く』と発表し、エリザベス女王(93)は激怒しているとイギリスでは報道されています。ところが、夫婦の発表前に大衆紙のデイリー・ミラーが『夫婦が王室を離脱する』と報道し、2人が慌てて『離脱ではない』とインスタグラムに投稿したという経緯があります。すでに情報戦は始まっているのは明らかで、今回の問題がどういう形で決着するのか、予測は難しいものがあります」(同・木村氏)

 英紙タイムズの報道などによると、チャールズ皇太子から支払われている年間約500万ポンド(約7億円)は、税金ではないため継続を世論も認める可能性はあるという。一方で最大の問題の1つに警備費があるという。

「かつてダイアナ妃が離婚したため、警察による正式な警備が行えないようになりました。イギリス王室は、それが交通事故で彼女が死亡した原因の1つと受け止めており、今でも汚点としてトラウマになっています。ヘンリー王子とメーガン妃には警察による正式な警護を付けさせたいが、それに世論が納得してくれるのかは未知数です。このように、夫婦と王室の間には、解決しなければならない問題が山積しています」(同・木村氏)

週刊新潮WEB取材班

2020年1月13日 掲載

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